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和食店事典

和食店事典

椀物・椀盛(わんもの・わんもり)

会席料理においては、先付のあとに出される汁物を指し、懐石料理においては、魚介や肉、野菜などを煮含めた具材が、澄まし汁に沈んだ煮物料理を指します。会席料理と懐石料理で微妙に異なっています。その違いや歴史についてご紹介します。

会席料理の「椀物」

会席料理の「椀物」

先付のあとで出される料理で、「吸い物」とも呼ばれます。「汁物」は、ごはんと共に出される味噌汁などを指し、「吸い物」は酒肴の一種に数えられますが、一緒の意味合いで使われることも多々あります。

基本的な椀物は、醤油や塩で味を調えたダシに、魚介類や鶏肉などの「椀種」、椀種の味を引き立て料理に色みをプラスする「つま」を加え、薬味としての役割を果たす「吸い口」を浮かべた料理です。椀物には、先付を食べたあとの「箸洗い」の意味合いもあります。

ちなみに、魚介から取ったダシを、塩のみで味付けしたものは「うしお汁」と言い、醤油を加えたものは「すまし汁」「おつゆ」と呼ばれます。

懐石料理の「椀盛」

料理の内容は会席料理の椀物と同様ですが、懐石料理においては、メインの料理にあたります。白身魚などをすりつぶして山芋と練り合わせた「しんじょ」や、湯葉、魚介、野菜などを美しく盛り、すまし汁にしずめます。椀盛のフタは、膳の外に置くのがマナーです。

会席料理が誕生した江戸時代

18世紀半ばになると、江戸の街には料理や酒を提供する料理店が次々に登場し、現代のミシュランガイドのようなガイドブックまであらわれたと言います。有名料理人の店には行列ができ、大名や豪商が訪れる超高級店もありました。そうした店は、茶室での接待とは異なる、形式張らない交流の場として重宝され、人々の支持を得るようになりました。

料理茶屋から料亭へ

正式な茶事を行なうための店であった料理茶屋は、会席料理の需要が増えるにつれ、「料亭」へと名称を変えて営業する店もありました。江戸時代から続く老舗料亭の中に、もともと茶屋であった店が多いのはそのためです。

細かい決まりごとにこだわらない料理

茶席の懐石は、一汁三菜を基本とした質素な料理です。必要以上に華美な器を使用したり、派手な盛り付けをしたりといった料理はご法度で、「器を空にして返す」という懐石のルールに基づき、飾り付けのためだけに食べられない草花や葉を添えることはありませんでした。

その一方、会席料理では、贅沢を極めることが良しとされた時代背景もあり、料理に様々な飾り付けが施されるようになりました。このことは、野菜の飾り切りが誕生したきっかけともなり、料理人は、客の目と舌の両方を楽しませる技術を身に付けるべき、修行に励んだと言います。「侘び寂び」が重んじられる懐石料理に対し、当時の会席料理は贅沢である程良いとされており、豪華な内装や手入れの行き届いた庭のある店が特に人気を集めました。美しい女性が酌をする店も多かったようです。

和食の伝統技術でもある飾り切り

縁起の良さを演出するために行なわれる技法のひとつが、「飾り切り」です。鶴亀をかたどったイモを添えたり、花型に抜いた人参を乗せたりといった風習は会席料理から生まれたものですが、現在では、おせちなど祝いの席での料理や弁当のあしらいなど、家庭料理の中にも浸透しています。